株式会社ドワンゴを退職します(5年2ヶ月ぶり1回目)


2019年8月末で、株式会社ドワンゴを退職します。これは主に社内の友人に向けた文章ですが、一応自己紹介は書いておきます。

私はkinoppydという名前で、2014年にドワンゴへ入社し、Scala/Rubyエンジニアをやっていました。最初に配属されたプロジェクトはニコニコ生放送のScala化プロジェクトで、ニコ生のScala化、ニコ生のHTML5化のお手伝い、公式生放送の老朽化した機能のマイクロサービス化などを行いました。その後はチームを異動し、ニコナレのバックエンド開発に従事しました。

他にも、社内でSlack芸人やBot芸人をやっており、なんか記事にされたりしたこともありました。

【bot、暴走中!】「Slackは福利厚生」と言い切る、ドワンゴ流・Slackの超活用術とは

絵文字コミュニケーション術、サーバーワークスとドワンゴが明かす

趣味はRubyのコードを書くことで、OSS活動としてSinatraライクな書き味のBotフレームワーク Mobb の開発などをやっていたり、技術書典でSinatraのコードリーディング本やメタプログラミングRubyの副読本などを書いていたりしました。次の技術書典では「ActiveRecord完全に理解した」という本を出します。

退職の理由

大まかに言うと、ライフスタイルが変わったためです。具体的に言うと、結婚をしました。

人生にはお金が必要です。ドワンゴからもらっていた給与は、私一人で生きていく分には十分なものでした。しかし、私自身の人生と将来生まれてくる子供の人生の2つを支えるには不十分でした。また、昇給のペースなどを考えても今後私が求める水準に達するにはかなりの努力と時間がかかると思い、転職して給与を上げる決断をしました。

私はとても夜型の人間です。そしてドワンゴには、真の裁量労働が存在しています。成果を出しチームの中で合意があれば、何時に出社しても何時に帰っても何も問題はなく、なんなら一日8時間働く必要すらありませんでした。私は在籍中、月に160時間働いてない月がそこそこあるくらいです。そのため、私は概ね昼の12時から14時の間に出社し、夜の20時から0時の間に帰る、という生活を続けていました。しかし、妻は9時に家を出て20時に帰ってくるという生活を送っており、夫婦間で生活時間の不一致が問題となりました。私は真の裁量労働の権利を持っているので、その時間に合わせて生活すればいいとは思いましたが、努力しても夜型の生活を改善できませんでした。そのため、定時が存在する会社に勤め強制的に妻と同じ時間を生きることを決めました。

また、ドワンゴは2019年2月の経営陣交代以降、事業の集中と選択を進めており、私の所属するチームが持っていたニコナレもクローズの運命からは逃れられませんでした。ニコナレの使っている仕組みの一部をScala化するなどをしていたため、この仕事を離れるとなるとそれなりの引き継ぎが必要でした。しかしサービスのクローズにより、私の持ち物は何もなくなってしまいました。結果としてとても身軽になったことも決断の大きな後押しになりました。

他にもいろいろな理由はありますが、まあこの3つに比べると些細なものです。

思い出

会社では、とても友人に恵まれました。まさか社会人になってからこんなにたくさん友達ができると思っていなかったので、驚きと感動があります。ドワンゴに入ってからの新しい友人に影響された結果様々な趣味に目覚め、今までの人生の中で考えられないほど自分の変化があった5年間でした。ポーカーやロードバイク、創作活動を始めたのもそうですし、そもそも今のメイン言語であるRubyを書き始めたのもドワンゴに入ってからです。ドワンゴは、非常に多種多様な人たちが在籍しており、積極的に関わっていくとプラスだったりマイナスだったりの影響をガンガン受けていきます。

仕事で関わる人達にも恵まれ、多くは良き友人で尊敬できる仲間でした。特に、生放送チームで一緒に働いた先輩と後輩、そしてニコナレチームの上長とチームメイトは、一緒に働けたことが光栄に思えるほどでした。私は本当に幸運で、働いている間に人間関係で困ったことにほぼ出くわすことがありませんでした。後述する理由でドワンゴには大変気難しい人も多い中で、このことは本当に運が良かったとしか言いようがありません。

ドワンゴは、自分の中の感覚で一言で表せば、良くも悪くも十数年前のインターネット・アトモスフィアをだいたい東銀座に再現した会社です。人々はネットでコミュニケーションをとり、その雰囲気は独特で、世間にさらけ出すと微妙な顔をされそうな世界観と価値観がありました。社内コミュニケーションツールのSlackにはその影響が特に色濃く出ており、私にとっては心地よかったけどこの空気に馴染めない人は本当に馴染めないだろうなぁという感じです。他人の認識はアイコンとハンドルで、実際に顔を合わせてもその人の名前すらわからないことも多々あります。Slackで雑談するのが大好きで、古のインターネットのコンテキストをずっと積み重ね続けたような会話が繰り返され、さながら歩くインターネット老人会のようでした。00年代や10年代にネットで流行った出来事をみんな知っているのが半ば当然のような、生まれたときからネットしてたんじゃないかみたいな人たちがたくさん住み着いていました。繰り返しますが、自分はそんな雰囲気が大好きでした。しかしその弊害として、やはりネットの中で繋がることが好きな人が多く、実際の対人関係では頻繁に衝突を起こす人も多かったです(ネットの上で衝突している人もいましたが)。これが私がドワンゴに気難しい人が多いと思う理由で、人と話すときにはその人のコンテキストをきちんと把握する努力が必要だと感じるところです。

挨拶

ドワンゴのインターネッツを去ることは、とても寂しいことです。すっかり自分の中に染み付いてしまった感覚を忘れることは、恐らく一生無理でしょう。同僚としても友人としても仲良く接してくれた人達にはいくら感謝を伝えても足りません。また、何度も退職の決意を鈍らせるくらい、一緒に働き続けたいと思えた上長にも、会えて本当に良かったです。いま、ドワンゴが大変な時期に離れてしまうことをとても心苦しく思いますが、ニコニコという文化をこれからも守り続けてくれると、一人のユーザーとしてこれほど嬉しいことはありません。

これから

9月からは、SmartHRという会社でRubyエンジニアをやっていく予定です。今後もよろしくお願いします。


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